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物流コストの最適化と業務効率の向上は、多くの企業にとって喫緊の課題です。
中でも注目されているのが、「ロジスティクスサービス」の活用です。
特に、自社物流からの脱却を検討している営業部・マーケティング部門の担当者にとって、適切なロジスティクスサービスの選定は、競争力の強化に直結します。
近年では、単なる輸送や倉庫管理だけでなく、ITを活用したフルフィルメントやWMS、自動出荷、返品処理まで一貫して支援するサービスが登場しています。
本記事では、「ロジスティクス サービス 比較」の観点から、各サービスの違いと選び方のポイントをわかりやすく解説していきます。
ロジスティクスサービスとは?
ロジスティクスと物流の違い
「ロジスティクス(Logistics)」という言葉はしばしば「物流」と同義で用いられることがありますが、厳密にはその範囲と役割に違いがあります。
物流とは、商品の「輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報管理」といった物理的な移動に関する一連の活動を指します。
一方、ロジスティクスはこの物流を含みつつ、より広範な経営戦略に基づく最適化の仕組みを意味します。
たとえば、物流が「モノを運ぶ手段」であるのに対し、ロジスティクスは「いかに効率よく、ムダなく、最適なタイミングで商品を届けるか」という視点から、全体の流れをマネジメントする概念です。
このため、ロジスティクスには在庫管理、需要予測、調達計画、さらにはITシステムとの連携までが含まれることが一般的です。
企業経営におけるロジスティクスの役割
今日の企業経営において、ロジスティクスは単なるコストセンターではなく、利益を左右する戦略的な要素と位置づけられています。
特にEC市場の拡大やサプライチェーンの複雑化が進む中、いかに迅速かつ正確に商品を顧客に届けるかは、顧客満足度の向上と直結します。
また、人手不足や物流業界の「2024年問題」などの社会的課題を背景に、企業は自社で物流機能をすべて内製するよりも、外部の専門サービスを活用する方向にシフトしています。
こうした流れの中で注目されているのが「物流アウトソーシング」サービスです。
保管から梱包、出荷までの業務を一括して代行することで、企業のリソースを本業に集中させることが可能になります。
こうしたサービスは、中小企業だけでなく、大手企業においても導入が進んでおり、その活用の有無がコスト構造や市場対応力に大きな差を生み出すことも珍しくありません。
ロジスティクスサービス比較
ロジスティクスサービスと一口にいっても、各社が提供する内容や強みはさまざまです。
ここでは、物流支援における代表的なサービスを比較し、各社の特長と適した利用シーンを見ていきましょう。
スクロール360
スクロール360は、EC事業者向けに特化したフルフィルメントサービスを提供しています。
商品保管から受注処理、ピッキング、梱包、配送、さらには返品対応までをワンストップで対応。
自社開発のWMS(倉庫管理システム)を用いることで、在庫や出荷状況をリアルタイムで把握できるのが強みです。
業種や規模に応じた柔軟なサービス設計が可能な点も、導入企業に高く評価されています。
富士ロジテック
富士ロジテックは、BtoC・BtoBの両方に対応可能な広範な物流機能を提供しています。
とくに医療機器やコスメなど、高い衛生管理を求められる商材において実績があり、専門的な物流品質が求められる業種に最適です。
海外配送や越境EC対応にも力を入れており、多言語対応・通関サポートまで備えている点は、グローバル展開を見据える企業にとって大きな魅力となります。
シッピーノ
シッピーノは、「自動出荷」の分野で注目されているSaaS型物流連携ツールです。
ECカート(Shopifyや楽天市場など)と物流倉庫システムをAPI連携することで、注文から出荷指示までを完全自動化します。
物流業務の手間を最小化したい中小企業や、少人数で運営するECサイトとの相性が非常に良く、導入のハードルも比較的低いのが特長です。
Recustomer
Recustomerは、返品業務の自動化に特化したクラウドサービスです。
EC事業者が直面しがちな返品・キャンセル対応の煩雑さを軽減し、ユーザー自身による返品申請を可能にするUIが高く評価されています。
返品・返金処理のステータスが可視化され、カスタマーサポート業務の効率化にも寄与します。
流通サービス
流通サービス(https://www.ryutsu.co.jp/)では、物流の全行程を一括で請け負う総合型サービスを展開しています。
入荷・保管・出荷・配送はもちろん、ギフト加工やセット組みなどの流通加工、さらには受注センターやシステム開発支援までカバーしており、まさに「物流を丸ごと任せられる」安心感があります。
特に人手不足や物流業務の内製化に限界を感じている企業にとって、頼れるパートナーとなるでしょう。
ロジスティクスサービスを比較する際のチェックポイント
多様なロジスティクスサービスが登場している中で、自社に最適なサービスを選定するには、いくつかの重要な視点で比較検討を行う必要があります。
以下では、失敗しないサービス選定のために、特に注目すべき3つのチェックポイントをご紹介します。
コスト構造と料金の透明性
まず最も気になるのが「費用対効果」です。
ロジスティクスサービスの料金体系は、基本料金に加えて保管料、作業料、出荷件数ごとの従量課金など、複数の要素で構成されています。
なかにはオプションが多く、実際の請求金額が見積もりと大きく異なるケースもあります。
そのため、コスト構造が明確で、内訳まできちんと説明してくれる業者を選ぶことが重要です。
対応業務の範囲と柔軟性
次に重要なのが、サービス提供の「カバー範囲」と「柔軟性」です。
あるサービスは倉庫保管に強みがある一方で、別のサービスは出荷や返品処理などのアフター業務に長けている場合があります。
自社の業務フローに対してどこまで対応可能かを明確に確認する必要があります。
また、企業の成長や事業形態の変化に合わせて、サービス内容を拡張できる柔軟性があるかも見極めたいポイントです。
EC専業からBtoB出荷への拡張など、ビジネスのフェーズに応じた変化に伴走できるロジスティクスパートナーが理想です。
IT連携・セキュリティ体制の確認
近年のロジスティクスサービスでは、WMS(倉庫管理システム)やOMS(受注管理システム)などとのIT連携が不可欠です。
受注から出荷、在庫連携までがリアルタイムで処理できる環境は、業務効率化に直結します。
そのため、API連携の有無や、既存のECカート・基幹システムとの互換性を確認することは非常に重要です。
さらに、物流データには顧客情報や販売情報など機密性の高いデータが含まれるため、セキュリティ対策が講じられているかどうかも必ず確認しましょう。
サーバーの信頼性、データの暗号化、アクセス権限管理など、情報漏えいを防ぐ体制が整っているかをチェックしておくことで、安心してサービスを委託することができます。
まとめ
ロジスティクスサービスの導入は、単なる業務の外注にとどまらず、企業の成長戦略に直結する重要な意思決定です。
物流の最適化はコスト削減だけでなく、業務の効率化、顧客満足度の向上、さらにはマーケティング施策との連携によるデータ活用の強化にもつながります。
貴社がロジスティクスサービスを検討する際には、自社の現状と今後の成長戦略を見据えた上で、最適なパートナーを選定することが肝要です。
比較・検討の視点として、コストの透明性、業務対応範囲の柔軟性、IT連携とセキュリティ体制といった要素を丁寧に確認し、長期的に安心して任せられるサービスを選びましょう。
物流の強化は、企業全体の競争力を底上げするカギとなります。
この機会に、自社に最適なロジスティクスサービスの導入をぜひご検討ください。