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「物流費の請求額が毎月上がり続けている」
「コスト削減を検討しているが、何から手をつければよいかわからない」
―そんな悩みを抱える企業担当者が増えています。
近年、物流費の高騰は業種・規模を問わずあらゆる企業の経営課題となっており、一時的なコスト増ではなく、構造的な経営課題として定着しつつあります。利益率の低下や価格転嫁の難しさから頭を抱えるケースは少なくありません。
物流費が高騰している背景には、燃料価格の上昇・ドライバー不足・2024年問題・国際運賃の変動など、複合的な原因が絡み合っています。
これらの要因を正しく理解し、自社に合った対策を講じることが、今後の企業競争力を左右する鍵となります。
本記事では、物流費が高騰している主な原因を整理した上で、コスト削減に向けた具体的な対策をわかりやすく解説します。
物流費が高騰している5つの主な原因
物流費の高騰は、単一の要因で引き起こされているわけではありません。
複数の要因が複雑に絡み合い、相互に影響し合うことで、現在の厳しい状況が生まれています。
ここでは、主要な5つの原因を詳しく見ていきましょう。
原因①:燃料価格(軽油・重油)の上昇
物流コストの大きな割合を占めるのが燃料費です。原油価格は国際情勢や地政学リスク、OPEC(石油輸出国機構)の生産調整などによって常に変動しており、これが軽油や重油の価格に直結します。
近年は円安の進行も影響し、国内向け燃料価格は高水準で推移する状況が続いています。
特にトラック輸送では軽油が必須であり、燃料価格の上昇は運送会社の経営を圧迫し、結果として荷主への運賃転嫁につながっています。
原因②:ドライバー不足と人件費の増加
物流業界は、長年にわたりドライバー不足という深刻な課題を抱えています。
少子高齢化による労働力人口の減少に加え、長時間労働や重労働といった業界イメージや賃金水準の課題により、若年層の新規参入が少なく、高齢化が加速しています。
このドライバー不足は、運送会社が十分な輸送力を確保できない状況を生み出し、既存ドライバーへの負担増、さらには人件費の高騰を招いています。
人材確保のためには、賃金や待遇の改善が不可欠であり、これが運賃に上乗せされる形で物流費全体を押し上げています。
原因③:2024年問題による輸送能力の低下
2024年4月に施行された「働き方改革関連法」により、トラックドライバーの時間外労働に年間960時間の上限が設けられました。いわゆる「2024年問題」は、制度開始後、物流現場において輸送能力の低下といった影響がすでに表れ始めています。
ドライバーの労働時間制限により、特に長距離輸送では1人あたりの輸送可能量が減少しました。その一方で、人材確保や待遇改善に伴う人件費は上昇しており、このギャップが運賃改定や物流条件の見直しを招き、物流費全体を押し上げる要因となっています。
原因④:倉庫費用・保管コストの上昇
物流費は輸送費だけでなく、倉庫での保管費用も含まれます。
近年、EC市場の拡大やサプライチェーンの複雑化に伴い、物流拠点となる倉庫の需要が高まっています。
しかし、都市部を中心に新たな物流施設の供給が追いつかず、賃料が高騰しています。
また、倉庫内作業における人件費の上昇、電気代などのユーティリティコストの増加、さらには自動化設備導入のための初期投資や維持費用なども、倉庫費用・保管コストを押し上げる要因となっています。
原因⑤:国際物流における海上運賃・航空運賃の高騰
グローバルサプライチェーンに依存する企業にとって、国際物流コストの変動は大きな影響を与えます。
新型コロナウイルス感染症による世界的な輸送混乱は沈静化したものの、その後も国際物流を取り巻く環境は構造的に不安定な状態が続いています。
近年は、中東情勢の緊迫化やロシア・ウクライナ情勢の長期化など、地政学リスクの高まりにより、一部航路での迂回運航や輸送日数の増加が常態化しています。
また、航空貨物についても、旅客便の減便による貨物スペースの減少や燃料価格の高騰などが重なり、運賃水準は依然として高止まり傾向にあります。
これらの国際運賃の高騰は、輸入原材料や製品のコストに直結し、最終的に国内の物流費にも波及します。
物流費高騰に対する6つの実践的対策
物流費の高騰は避けられないトレンドとなりつつありますが、企業努力によってコストを抑制し、競争力を維持することは可能です。
ここでは、具体的な6つの対策をご紹介します。
対策①:物流ネットワークの最適化
自社の物流ネットワーク全体を見直し、効率化を図ることは、コスト削減の第一歩です。
配送拠点の集約・再配置
複数の配送拠点を持ちすぎている場合、管理コストや人件費がかさむことがあります。
需要の集中するエリアに拠点を集約したり、主要幹線道路沿いに再配置したりすることで、輸送距離の短縮やリードタイムの改善、運営コストの削減が期待できます。
また、共同物流センターの活用も有効な手段です。
輸送ルートの見直し
既存の輸送ルートが本当に最適であるか定期的に見直しましょう。
AIを活用したルート最適化システムを導入することで、渋滞予測や積載効率を考慮した最適なルートを導き出し、燃料費やドライバーの労働時間を削減できます。
輸送モードの切り替え(モーダルシフト)
長距離輸送において、トラック輸送から鉄道や船舶への切り替え(モーダルシフト)を検討しましょう。
大量輸送が可能で、環境負荷も低いというメリットがあります。
リードタイムは長くなる可能性がありますが、計画的な輸送であればコスト削減に大きく貢献します。
対策②:共同配送・混載便の活用で積載率を向上させる
トラックの積載率を向上させることは、輸送効率を高め、コストを削減する上で非常に重要です。
共同配送のメリットと導入ポイント
複数の荷主が協力し、同じ方面へ向かう貨物を1台のトラックに積んで配送する「共同配送」は、積載率を大幅に向上させることができます。
これにより、車両台数や燃料費、人件費を削減できるだけでなく、CO2排出量の削減にもつながります。
導入のポイントは、共同配送を検討する企業間での情報共有と協力体制の構築です。
荷姿の標準化や配送時間帯の調整なども必要になります。
CO2削減にも貢献できる一石二鳥の取り組み
共同配送は、輸送効率の向上によるコスト削減だけでなく、環境負荷低減という側面も持ち合わせています。
SDGsへの取り組みが企業価値を高める現代において、CO2排出量の削減に貢献できる共同配送は、企業イメージ向上にもつながる一石二鳥の取り組みといえるでしょう。
対策③:在庫管理の効率化とリードタイムの短縮
過剰な在庫は保管コストを増大させるだけでなく、陳腐化リスクやキャッシュフローの悪化にもつながります。
適正在庫の維持で保管コストを圧縮
需要予測の精度を高め、適正在庫を維持することが重要です。WMS(倉庫管理システム)やAIを活用した需要予測システムを導入することで、在庫状況をリアルタイムで把握し、発注量を最適化できます。
これにより、無駄な保管スペースや人件費を削減し、倉庫費用を圧縮することが可能です。
また、リードタイムを短縮することで、必要な時に必要な量だけを調達・生産するジャストインタイム(JIT)方式に近づけ、在庫リスクを低減します。
対策④:物流DXによる業務効率化
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、物流業務の効率化とコスト削減に不可欠な要素です。
WMS(倉庫管理システム)の導入
WMSは、入庫・出庫・ピッキング・棚卸しなどの倉庫内業務を効率化し、在庫の精度を高めるシステムです。
リアルタイムでの在庫状況把握や作業指示の自動化により、人為的ミスを削減し、作業時間を短縮します。
TMS(輸配送管理システム)の導入
TMSは、配車計画の最適化、運行状況のリアルタイム管理、配送ルートの最適化などを行うシステムです。
AIを活用することで、複雑な条件(車両の種類、荷物の種類、配送時間指定、ドライバーの休憩時間など)を考慮した最適な配車計画を自動で立案し、燃料費や人件費の削減に貢献します。
AI・IoT・RPAの活用
AIは需要予測やルート最適化などに活用され、IoTは倉庫内の設備や輸送車両の稼働状況をリアルタイムで可視化することで、異常検知や予知保全に役立ちます。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型的な事務作業を自動化し、人手不足の解消や業務効率化に貢献します。
対策⑤:物流パートナーの見直しと契約の最適化
現在の物流パートナーとの関係を見直し、より最適な条件を追求することも重要です。
複数業者からの相見積もりで費用を比較
定期的に複数の物流業者から相見積もりを取り、サービス内容と費用を比較検討しましょう。
これにより、現在の契約が適正な価格であるかを確認し、よりコストパフォーマンスの高いパートナーを見つけることができます。
ただし、単に価格だけでなく、サービス品質や信頼性も重要な選定基準です。
長期的なパートナーシップで安定コストを実現
安易な業者変更は、サービスの質低下や移行コスト発生のリスクを伴います。
信頼できる物流パートナーとは長期的な関係を築き、相互にメリットのある関係を構築することで、安定したサービス品質とコスト水準を維持できる可能性があります。
たとえば、一定の物量を保証する代わりに単価を交渉するなど、戦略的なパートナーシップを構築しましょう。
アウトソーシング範囲の再検討
自社で内製している物流業務と、外部に委託している業務の範囲を再検討しましょう。
3PL(Third Party Logistics)事業者の活用も有効です。
3PLは、荷主企業の物流業務全般を一括して受託し、最適な物流システムを構築・運営するサービスです。
専門的な知見とノウハウを活用することで、物流コストの削減と効率化が期待できます。
対策⑥:梱包・荷姿の最適化で輸送コストを削減
意外と見落とされがちなのが、梱包や荷姿の工夫によるコスト削減です。
梱包資材の見直し・軽量化
過剰な梱包は、資材コストだけでなく、輸送時の重量増にもつながります。
製品を保護しつつ、できるだけ軽量でコンパクトな梱包資材に見直しましょう。
環境に配慮したエコ素材の導入も、企業のCSR活動として評価されます。
荷姿の標準化による積載効率アップ
トラックやコンテナへの積載効率を最大化するために、荷姿の標準化を検討しましょう。
たとえば、パレットサイズに合わせた段ボール箱の設計や、デッドスペースを減らすための工夫などが挙げられます。
これにより、1回あたりの輸送量を増やし、輸送回数を減らすことで、全体的な輸送コストを削減できます。
物流費の高騰に関するFAQ
Q1.物流費が高騰する主な原因は何ですか?
A1.物流費が高騰する主な原因は、以下の5つが挙げられます。
- 燃料価格(軽油・重油)の上昇
- ドライバー不足と人件費の増加
- 2024年問題による輸送能力の低下
- 倉庫費用・保管コストの上昇
- 国際物流における海上運賃・航空運賃の高騰
これらの要因が複合的に絡み合い、物流費全体を押し上げています。
Q2.物流費の高騰は今後も続きますか?
A2.残念ながら、物流費の高騰は今後も継続する可能性が高いと見られています。
ドライバー不足は依然として解消の見通しが立っておらず、2024年問題による労働時間規制の影響も、制度定着とともに物流現場で常態化しています。
また、国際情勢の不安定さや為替変動、脱炭素化に向けた環境規制強化なども、物流コストに影響を与え続けると予想されます。
企業は、これらの状況を前提として、物流戦略の再構築と継続的なコスト削減努力が求められます。
Q3.中小企業でもできる物流費削減の方法はありますか?
A3.はい、中小企業でも取り組める物流費削減の方法は多数あります。
たとえば、以下のような対策が有効です。
- 共同配送や混載便の活用
- 梱包資材の見直しや荷姿の標準化
- 在庫管理の徹底による適正在庫の維持
- アナログな業務のデジタル化(WMSやTMSの導入検討)
- 複数の物流業者からの相見積もりによる価格比較
自社の規模や状況に合わせて、できることから着実に実施していくことが重要です。
まとめ
物流費の高騰は、燃料価格の上昇、ドライバー不足、2024年問題、倉庫費用、国際運賃など、複数の要因が複雑に絡み合って発生しており、今後もその傾向は続くと予想されます。
このような状況下で企業が競争力を維持するためには、物流ネットワークの最適化、共同配送の活用、在庫管理の効率化、物流DXの推進、物流パートナーとの関係見直し、梱包・荷姿の最適化といった多角的なアプローチが不可欠です。
本記事でご紹介した具体的な対策を参考に、貴社の物流コスト削減と効率化に向けた取り組みをぜひご検討ください。
物流の最適化は、単なるコスト削減に留まらず、顧客満足度の向上や企業競争力の強化にも直結する重要な経営戦略です。
物流体制見直しの第一歩として、まずはお気軽にご相談ください
「物流費が上がり続けており、抜本的な見直しが必要だと感じている」
「対策が必要なのは分かっているが、どこから手を付けるべきか判断できない」
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