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貨物自動車運送事業法とは?目的・改正内容・荷主企業への影響をわかりやすく解説

最終更新日

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この記事の概要

  • 貨物自動車運送事業法の目的:貨物自動車運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、輸送の安全確保と事業の健全な発展を図ることを目的とした法律である
  • 貨物自動車運送事業法の度重なる改正の背景:物流の2024年問題や多重下請構造など、物流業界が抱える課題への対応が改正を後押ししている
  • 改正貨物自動車運送事業法の動き:2025年4月には書面交付義務や実運送体制管理簿制度などが施行され、2026年4月からはトラック適正化二法による追加改正も始まっている
  • 荷主企業が押さえるべき対応ポイント:契約管理や委託先管理、取引適正化など、荷主企業にも物流コンプライアンスへの対応が求められている

「貨物自動車運送事業法とはどのような法律なのか?」
「自社の物流業務にどのような影響があるのか?」
物流業界を取り巻く環境変化や相次ぐ法改正を背景に、こうした疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

貨物自動車運送事業法は、トラック運送事業者だけでなく、物流を利用する荷主企業にとっても重要な法律です。近年は、ドライバー不足や労働時間規制への対応を背景に制度改正が進められており、荷主企業にも対応が求められています。

本記事では、貨物自動車運送事業法の目的や基本的な仕組み、最新の改正内容、荷主企業が押さえておくべき対応ポイントまでを、わかりやすく解説します。

貨物自動車運送事業法の目的

貨物自動車運送事業法とは

貨物自動車運送事業法は、トラックを使用して貨物を運送する事業について、その事業の許可や届出、運送約款、運賃・料金、安全管理などのルールを定めた法律です。
1989年(平成元年)に、それまで道路運送法の一部として規定されていたトラック運送事業を独立して規律するために制定されました。

同法では、貨物自動車運送事業を「一般貨物自動車運送事業」「特定貨物自動車運送事業」「貨物軽自動車運送事業」の3つに区分しており、それぞれ許可・届出の要件や適用される規制が異なります。

貨物自動車運送事業の3つの区分

区分 概要 手続き
一般貨物自動車運送事業 不特定の荷主の依頼に応じて、有償で貨物を運送する事業 許可
特定貨物自動車運送事業 特定の荷主の依頼に応じて、有償で貨物を運送する事業 許可
貨物軽自動車運送事業 軽トラックや軽バンなどの軽自動車を使用して有償で貨物を運送する事業 届出

このように、貨物自動車運送事業法は事業形態に応じたルールを設けることで、物流サービスの適正な運営を図っています。

規模や業種を問わず、荷主企業にとって、トラック運送業者はサプライチェーンを支える重要なパートナーです。そのため、本法の基本的な仕組みを理解することは、自社の物流委託先を適切に選定し、物流リスクやコンプライアンス上の問題を回避するうえでも欠かせません。

貨物自動車運送事業法が制定された目的

貨物自動車運送事業法の目的は、第1条において「貨物自動車運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、輸送の安全を確保するとともに、貨物自動車運送事業の健全な発達を図り、公共の福祉の増進に資すること」と定められています。

この目的は、事業運営の適正化、輸送の安全確保、物流機能の維持・発展という3つの観点に整理できます。

  1. 事業運営の適正化と健全な市場形成
    不当な競争や不適切な事業運営を防ぎ、持続可能な物流市場を形成すること
  2. 輸送の安全確保
    交通事故や過労運転の防止を通じて、安全な貨物輸送を実現すること
  3. 社会インフラとしての物流機能の維持・発展
    貨物自動車運送事業の健全な発展を促し、物流を通じて国民生活や経済活動を支えること

荷主企業にとっても、この法律は安全で持続可能な物流を支える基盤となるものです。近年の法改正では荷主の責務や取引の適正化に関する内容も強化されているため、その目的を理解したうえで対応を進めることが重要です。

貨物自動車運送事業法の度重なる改正の背景

物流の2024年問題に対する危機感

近年、貨物自動車運送事業法の改正が相次いでいる大きな要因の一つが、「物流の2024年問題」です。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制(年960時間)が適用されたことで、ドライバー一人当たりの稼働時間が制限され、輸送能力の低下が懸念されています。

国土交通省は、必要な対策を講じなければ将来的に輸送能力が大幅に不足する可能性があると指摘しており、これは運送事業者だけでなく、荷物を出荷する荷主企業にとっても、納期遅延や物流コスト上昇といった形で経営に直結するリスクです。
こうした危機感が、持続可能な物流体制の構築に向けた法改正の背景となっています。

長年の構造的課題への対応

トラック運送業界には、2024年問題が顕在化する以前から指摘されてきた構造的な課題があります。

代表的なものが、多重下請構造です。
荷主から元請事業者、さらに下請・孫請へと運送業務が再委託される過程で、実際に輸送を担う実運送事業者までの取引関係が複雑化し、運賃が十分に行き渡りにくい構造が長年問題視されてきました。
また、燃料費や人件費の上昇分が適正に運賃へ転嫁されず、運送事業者の経営を圧迫していることも課題として指摘されています。

近年の貨物自動車運送事業法の改正では、こうした業界の慢性的な問題に対応するため、実運送の実態を可視化するとともに、適正な取引環境の整備が進められています。

改正貨物自動車運送事業法について

改正貨物自動車運送事業法の動き

貨物自動車運送事業法は、ドライバー不足への対応や多重下請構造の是正を背景に段階的な改正が進められています。

2024年には物流取引の適正化や実運送の可視化を目的とした改正法が成立し、2025年4月から施行されました。さらに2025年6月には、ドライバーの適切な賃金確保や物流の持続可能性向上を目的とする「トラック適正化二法」が公布されました。同法の一部は2026年4月から施行されており、残る制度についても、公布後3年以内の施行が予定されています。

時期 制度改正の動き 主な内容
2024年5月 改正貨物自動車運送事業法を公布 書面交付義務や実運送体制管理簿制度などを創設
2025年4月 改正貨物自動車運送事業法を施行 取引適正化に関する新ルールがスタート
2025年6月 トラック適正化二法を公布 物流の持続可能性向上に向けた追加改正を実施
2026年4月 トラック適正化二法の一部施行 利用運送事業者への義務拡大や白トラ対策を開始
未定(公布後3年以内) 段階施行予定 許可更新制や適正原価制度を導入予定

2025年4月施行の主な改正内容

書面交付義務の強化

2024年5月に成立・公布された改正法では、運送契約の締結時には、運賃・料金や附帯業務の内容などを記載した書面の交付が義務化されました。

これにより、口頭でのあいまいな取り決めによるトラブルを防ぐとともに、運送条件や運賃に関する取引の透明性向上を図る狙いがあります。

実運送体制管理簿の作成

元請事業者には、下請構造の中で実際に貨物を運送する事業者(実運送事業者)の名称や請負階層などを記載した「実運送体制管理簿」の作成・保存が義務付けられました。

これにより、多重下請構造の実態が可視化され、荷主や行政が運送の流れを把握しやすくなります。

健全化措置と管理体制

改正法では、利用運送の委託先に対する発注の適正化など、取引環境の改善に向けた「健全化措置」が設けられました。また、一定規模以上の事業者には、運送利用管理規程の作成や運送利用管理者の選任が義務付けられています。

これらの措置は、多重下請構造の是正や適正な運賃収受の促進を目的としています。

その他、貨物軽自動車運送事業者に対する義務

軽貨物車両を用いて運送を行う貨物軽自動車運送事業者についても、安全対策の強化が図られました。事故防止に向けた管理体制の整備や各種安全対策が求められており、近年増加している軽貨物配送においても安全性の向上が図られています。

2026年4月施行の主な改正内容(トラック適正化二法)

白トラ対策の強化

無許可・無届出で有償運送を行う、いわゆる「白トラ」対策も強化されます。

違法な白トラ事業者に運送を委託した荷主等についても、新たに規制の対象となり、処罰や是正指導が行われる場合があります。物流コンプライアンスの観点から、荷主企業にも委託先の許可・届出状況の確認がより重要になります。

委託次数制限への対応

多重下請構造の是正に向けて、貨物自動車運送事業者および利用運送事業者には、真荷主から引き受けた貨物運送について、委託段階を二次請けまでに抑える努力義務が課されます。

これにより、過度な再委託の抑制や実運送事業者への適正な運賃配分が期待されています。

利用運送事業者への義務拡大

自らはトラックを保有せず、他の運送事業者に運送を委託する「利用運送事業者」に対しても、書面交付義務や実運送体制管理簿の作成義務に加え、委託先への発注適正化に関する努力義務なども適用されます。

また、一定規模以上の利用運送事業者には、運送利用管理規程の作成や運送利用管理者の選任も求められます。これにより、物流の仲介を担う事業者の責任がより明確になります。

今後施行予定の主な改正内容(トラック適正化二法)

許可更新制の導入

一般貨物自動車運送事業について、5年ごとの許可更新制の導入が予定されています。

更新にあたっては、輸送の安全確保や法令遵守の状況などが確認される見込みであり、トラック運送事業の質の向上を図ることが目的とされています。

適正原価制度の導入

燃料費や人件費、減価償却費、安全確保に必要な費用などを反映した「適正原価」を国土交通大臣が定める制度の導入が予定されています。

トラック運送事業者や利用運送事業者には、適正原価を継続して下回らない運賃・料金で取引を行うことが求められる方向で制度設計が進められています。なお、これに伴い標準的運賃制度は廃止される予定です。

施行スケジュールと対応の必要性

許可更新制や適正原価制度については、トラック適正化二法の公布後3年以内の施行が予定されています。

荷主企業においては、自社の物流委託先や契約内容、再委託の実態を把握し、今後の制度改正に備えて取引慣行の見直しを進めることが重要です。

荷主企業が押さえるべき対応ポイント

実運送体制管理簿への対応

荷主企業自身に実運送体制管理簿の作成義務はありませんが、元請事業者から実運送体制に関する情報提供を求められる場面が増えることが想定されます。

そのため、自社の運送委託先を把握するとともに、必要に応じて情報提供に協力できる体制を整えておくことが重要です。また、過度な多重下請構造が生じていないか確認することも、物流リスクの低減につながります。

コンプライアンス体制の整備

書面交付義務や取引適正化に関する制度の導入により、従来の口頭中心の発注や契約管理は見直しが求められています。

荷主企業においては、➀運送委託契約の書面化、➁運賃・料金の算定根拠の明確化、➂委託先事業者の許可・届出状況の確認、④白トラ事業者を利用しないための確認体制などを整備することが重要です。

また、営業部門・調達部門を含めて、運送委託に関する社内ルールや契約管理体制を見直し、法改正に対応できる体制を整備しておくことが求められます。

価格転嫁と取引交渉への対応

燃料費や人件費の上昇を背景として、運送事業者から運賃や料金の見直しを求められるケースは今後も増加すると考えられます。

荷主企業としては、運送事業者からの運賃改定要請に対して、一律に価格抑制を図るのではなく、燃料費や人件費の変動要因も踏まえながら建設的な協議を行うことが重要です。短期的なコスト削減だけでなく、安定した輸送力の確保や持続可能な物流体制の構築という視点を持つことが求められます。

まとめ

貨物自動車運送事業法は、輸送の安全確保とトラック運送事業の健全な発展を目的とした法律です。近年は、ドライバー不足への対応や多重下請構造の是正を背景に、段階的な制度改正が進められています。

2025年4月には書面交付義務や実運送体制管理簿などを柱とする改正法が施行されました。さらに、2025年に公布された「トラック適正化二法」に基づき、2026年4月からは利用運送事業者への義務拡大や白トラ対策の強化などが始まっています。加えて、許可更新制や適正原価制度についても今後段階的な施行が予定されています。

荷主企業にとっても、契約管理や委託先の確認、取引適正化への対応は重要な課題です。法改正の内容を正しく理解し、運送事業者との適切なパートナーシップを構築することが、持続可能な物流体制の実現につながるでしょう。

最適な物流パートナー選びのため、ぜひ一度ご相談ください

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